小説もどき
私は大学生2年生。めちゃくちゃ勉強ができるわけでもなく、できないわけでもない、と思う。志望大学に合格できず浪人したがやっぱりだめで、まあまあ偏差値のある私立大学に通う。1年生の頃は今の大学をなめていた。大学なんて適当に授業を欠席し、適当に…
外に出ると雪が降っていた。弱々しい雪だった。 地面に落ちた瞬間、アスファルトの黒に吸収されてしまう。 降れども降れども積もることは無い。 アスファルトがブラックホールのように思えた。12月に入って、懐かしい寒さを感じていた。 凍えた手をコートの…
1. 「またね」と言って別れた。 途端に寒さが身に突き刺さる。 名付けられない感情が全身から湧き出してくる。 その感情の波はあっというまに私の顔までのぼり、私の目から涙となってこぼれ落ちた。 私には止められないぐらいに激しい波だった。 2. 気付いた…
朝起きたら、机の上に置き手紙とピスタチオの皮が置かれていた。 置き手紙には「さようなら。」とだけ書かれていた。 ピスタチオの皮は触るとカサコソと奇妙な音を立てた。 私は幾度となくピスタチオの皮を数えた。 ピスタチオの皮がすれたとき立てるカサコ…
1. 曇りの日の夕方、私たちは二人きりでマンションの屋上に立って、道行く人々をひたすら眺めていた。 風が強くなり始め、彼女の髪は揺れていた。 彼女は風のようである。 全てにおいてこれと言って特徴が無い、まるで、ただ人間の言葉にある法則をもって反…
今朝、起きたら冷凍庫の中にペンギンが居た。 ペンギンは昨日買ってきたばかりの冷凍のサンマをつついていた。 朝、朝食の準備をしようと私が冷凍庫を開けるとペンギンといきなり目があったのだ。 丸い目をしていた。一度だけまばたきすると、ペンギンはまた…
内面を隠してきた。いや、隠しては無い、出さなかっただけだ。 出せなかったわけでもない、出さなかったのだ。 内面を出すことは無駄なことだから。 相手に私の何が分かるのだろう… はっきりとした決意があったわけではない。 自然とそうなったのだ。 それは…
なんとなく時々匂いに誘われて開けてみて、足元の水を見つめたら、タプタプって音がしてリズミカルに揺れている。そんな水の動きを見つめているうちに、何か壮大な世界に取り込まれてしまうのだ。二度あるはずのない日々とか、あの時夢中だったこととか。こ…
稜線が見える今日は雨 電線から雫が落ちた ああ、あの雫も地面の水たちと同等になる しがみついた電線はああ、音にかき消され 今日は雨斜めに突き刺さったり たまに稜線 目に映るのはあの稜線とこのしぶき見下ろせば水 目を閉じて 音に包まれる今日は雨あ、…
ちょうど一週間ぐらい前、両目にゴミか何かが入った感覚があったから手でこすったのね。 こすったら余計に痛くなって… でもなんとか頑張って目の痛みがとれたから目を開けてみたら目の前にベッドがあったのね。あーあ、仕方ない、寝るかー。毎日眠くて眠くて…